靖埜先生は本場のイタコに弟子入りして、修行を修められたそうですね。

靖埜霊能者:もう二十年以上前のことになりましょうか。当時、すでに私はセミプロの霊能者として活動していたのですが、その頃の馴染みのご相談者の一人が青森県にお住まいの女性で、仮に名前は千葉さんとしておきますが、あるとき「先生にどうしても会わせたい人がいるので、ぜひ青森まで来て欲しい。もちろん交通費などはこちらで負担しますから」と強く請われまして、最初は私に相談したい人でも向こうにいるのかなと思ったのですが、実際にお会いしたところ、その方は恐山のイタコマチなどでも口寄せをされている現役のイタコでした。そのイタコの方のお話では、一ヶ月ほど前に夢枕に突然お釈迦様が立って、「東の方に汝の魂の跡を継ぐ者がいるので、その者と会いなさい。千葉に相談すると良い」と旨の宣託を受けたとい言うのです。そのイタコの方と千葉さんとは以前からの知り合いでさっそく夢の話をしたところ、それは当時、東京に住んでいた私のことではないかということになって、急遽呼び出されたと言うわけです。「あなたで間違いない。夢に出た顔相とそっくりだ」と言われて、再三にわたって弟子入りして欲しいと頼まれまして、そのときは「しばらく考えさせて欲しい」と答えたのですが、その後、私を取り巻く仕事を含めた状況が弟子入りせざるを得ないように急変し、これは運命だと悟って、一年後に相手の申し出を受け入れました。

とても不思議なお話ですね。仏縁とでも言えば良いのでしょうか？

靖埜霊能者:以前から、自分の前世が東北地方に住んでいた祈祷師であったことは薄々気づいていました。恐らくその前世の因縁に引かれていったのでしょう。

電話占いを始められたきっかけについて教えてください。

靖埜霊能者:イタコの免許皆伝を得てからは再び東京へ戻っていたのですが、五年前ほどにどこから話を聞きつけられたのか王寺院から連絡をもらいまして、「ぜひ、うちで電話鑑定をしていただけませんか？」と依頼されたのがきっかけです。

先生の鑑定はどんな感じなのですか。

靖埜霊能者:イタコの口寄せを主体とした鑑定になります。呼び出す霊は大半が生き霊です。片想いの相手、恋人、親友など人間関係にまつわるご相談で、その相手の霊を口寄せするケースが圧倒的に多いです。実際の現地のイタコはほとんどが死者の霊ばかりを降ろしているので、最初は少し戸惑いもありましたが、最近ようやく慣れてきました。生口、つまり生きている人間の魂を口寄せするのは術者の方もけっこう労力がいるので、いつも鑑定が終了するとぐったり疲れます。

他のイタコ霊能者の先生からも似たようなお話をよく伺います。電話占いは女性の恋愛や結婚に関する悩みがほとんどなので、その相手の生き霊ばかりを口寄せするようになったと皆さんおっしゃっています。しかし、生き霊の口寄せが、一際労力のいるものではあるとは知りませんでした。

靖埜霊能者:たぶん、霊能者としての体質の違いというか個人差だと思います。王寺院に所属している他の先生とお話する機会があったのですが、彼女は生き霊降ろしも死霊降ろしも別に大差ないと言っていましたから。

そうすると先生の場合は、故人の口寄せの方が得意ということになりますか？

靖埜霊能者:得意というか、疲労度は少ないですね。でもまあ、そのうちに慣れてくるかもしれません。電話での鑑定の仕事自体にはとてもやりがいを感じているので、お客様のニーズに合った口寄せができるように慣れていきたいです。

最後に今後の抱負と、お客様へのメッセージをお聞かせください。

靖埜霊能者:電話鑑定での口寄せというのは、本場のイタコのそれとはだいぶ様相が違うと実感しています。やはり対面ではなく、電話を通してのやり取りというのが大きく影響しているのでしょうか。ともあれ、今後もこの仕事を続けて少しでも皆様のお役に立ちたいと願っておりますので、ご興味がお有りの方はぜひ一度、鑑定をご依頼ください。